諦める力

Amazonの「Kindle Unlimited」というサービス(所定の本、コミック、雑誌、洋書が読み放題)を無料体験中で、いろいろと漁っていたところ、元陸上選手の為末大さんが書いた「諦める力」という本に出会い、読んでみた。

 

 

納得できる部分も多く、読んでみてよかったと思うし、もっと若い頃、願わくば10代後半に出会っていたかったとも思う。

僕自身、決して器用な人間ではなく、何か秀でた才能があるわけではないため、昔から、「諦めずに努力を続けていればきっと報われる」と信じ込み、がむしゃらに頑張るフシがあった。

そのために、いくら努力しても敵わない相手や、どう頑張っても変えられないような状況に出くわすと、圧倒的な力の差を感じて挫折を味わう、ということが何度かあった。

その度に、「このままではダメだ」と自分の現状を見つめ、時には努力が足りないからだ、と自分を責め、またある時には他人とは違うやり方を取らなければ自分の存在意義はないのではないか、と苦悩してきた。

本書の『「オンリーワン」の落とし穴』という節の中で、「人間に優劣はないが、能力に優劣はある」という記述がある。この部分が特に響いたのだが、それは上記のような過去の経験の中でこのような割り切りが出来ていなかったために、自分と他人を比べ(優劣をつけ)、自分より優れていると思った人を羨ましがり、自身を卑下して悩んでいたからだと気付いたためである。

こうした理由から、自分らしさを見つけなければならないと自分を追い込んでいた10代後半〜20代前半(主に大学生の頃)の自分がこの本に出会い、決して逃げではない、前向きに諦めるという選択があるということに気付いていれば、もう少し楽に生きてこられたのかもしれない。

 

一方で、諦めるという選択肢が与えられたからといって、簡単に夢を追いかけることをやめてしまったり、やるべき努力を怠ってしまうことが奨励されるわけではない。

才能には優劣はあるが、あくまで相対的な尺度であり、絶対な指標というものはありえない。そのため、たまたま目の前に巨大な才能が現れたからといってすぐに諦める必要はなく、いろんな角度から自分を客観視し、どういう立ち居振る舞いをするのがベターか、よく考えるべきである。

また、別の見方をすると、成功するのはバカか天才のどちらかと言われるように、周囲からいくら反対されても信念を貫きやり遂げるバカが一定数いないことには、世の中は面白くならないんじゃないか、とも思う。そう考えると、本書が与えてくれた諦めるという考え方・選択肢は、天才ともバカとも分類できない僕のような人間が、のびのびと楽しい人生を送るためのきっかけとなるものなのかもしれない。

Remove all ads