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人工知能ブームを捉えてみる

人工知能

最近、やたらとAI、人工知能というキーワードが流行っており、ニュース記事や雑誌でもその文字を目にすることが多くなっている。まさにブーム。専門家の方々によると、今のブームは第三次ブームということらしい。僕は人工知能の研究者でもなんでもないが、近い将来、ますます人の生活に入り込み、多大な影響を及ぼすであろうこの分野の動向を捉えたいという動機から、文献や各種記事に目を通すようにしている。

さて、第三次ブームを牽引しているのはディープラーニング(深層学習)という技術である。この技術が登場して以来、画像や音声認識精度の目覚ましい向上が見られ、Facebookにアップされた写真から自動で顔が認識されることや、Googleの翻訳サービスが海外旅行や出張でもある程度使えるレベルにまでパワーアップしていることなど、身近なサービスを通じてディープラーニングが広く浸透してきていることが感じられる。
また、一年ほど前であるが、Google DeepMindの開発したAlphaGoが囲碁の世界チャンピオンを倒したことも象徴的な出来事であった。囲碁AIの勝利はディープラーニングの汎用性を示すとともに、「コンピュータ vs 人間」の構図の中で、しばらくは人間に追いつけないであろうと言われていた領域にコンピュータが一気に侵略してきた、という印象を与え、人工知能の新たな時代の到来がメディアを伝じて一斉に世間へ広まることとなった。

シンギュラリティ(技術的特異点)という言葉も聞く機会が増えているが、機械がほんの僅かでも人間の知能を超えるような状態に達すれば、自ら学習し続けることで、人間が追いつけない領域へ入っていってしまうことが懸念されている。これに対しては賛否両論様々な意見があり、機械の暴走を危惧する声や、特定の分野はありうるとしても、あらゆる分野で人間を超えることはない、などの声が挙がっている。

一方で、5年ほど前にブームとなったスマートにはじまり、ビッグデータ、IoT、AIと、進歩している技術をメディアは一緒くたに扱いがちなことが多い。そのために、実は以前からある技術・商品なのに「AI家電」として新たに紹介されることがあるなど、新たなラベルで焼き増しされているだけの技術に気をつける必要がある。たとえば、生活家電がネットワークにつながり、センサーがデータを提供したり制御したりということは以前から存在していたが、ディープラーニングの出現によって大きく変わったことがあるかと聞かれても、特段そのようなことはないように思われる。
広義の人工知能は非常に汎用性が高いため、良いように使われがちだが、メディアの作り出すブームに惑わされすぎないよう、しっかりと本質を見極める必要がある。